鞍馬の火祭【由岐神社】

一匹狼★NOB

2008年10月29日 07:04

 先日10月22日、時代祭と同日に行われる由岐神社の神幸祭である『鞍馬の火祭』へと伺いました。毎年、多くの方が間違った理解をされて訪れておられるのですが、『鞍馬の火祭』は「鞍馬寺」の行事ではなく、『由岐神社』の例祭・神幸祭であります。
 通常の例祭が行われた後、定刻、『神事触れ』と呼ばれる「神事にまいらっしゃれ」という合図とともに、集落の松明には火が灯され、地元の人々は「サイレイヤ、サイリョウ」という声を掛け合いながら、鞍馬一帯を練り歩きます。そして、練り歩く人々は定刻を確かめ、時間となると大松明を持った地元の青年たちを中心として人々が宿へと集まり、御旅所へと向かいます。御旅所では諸役によって御旅所の鳥居に張られたしめ縄が切られる儀式が執り行われます。このときに、行列の中や御旅所の中央、鳥居前に一般人やカメラマンが入ることは許されません。諸儀が終わると、剣鉾の清らかな音色とともに大松明は、御神輿が鎮座されている山門前へと向かいます。

 大松明が石段下へと集まり、注連縄の儀式が行われると、いよいよ御神輿が神幸されます。その折、皆さんもご存じの鞍馬特有である、青年が神輿の長柄にぶら下がり大きく足を広げる「チョッペン」の儀が行われ、松明に明々と照らされた神輿はゆっくりと鞍馬地区を巡行致します。

 鞍馬一帯を練り歩くと、各町から持ってこられた神楽松明と御棚は、御旅所前に奉じられ、御神輿を御旅所へと迎えます。地元青年たちは、御神輿を担いで鳥居を通ると、神輿の長柄を一方がわっしょいという掛け声とともに数回担ぎあげると、もう一方が次に同じように担ぎあげます。片方ずつが数回交互に担ぎ終わると、神輿を御旅所の拝殿へと鎮座いたします。二基の御神輿の御鎮座を終えると、青年たちは神輿の前で「サイレイヤ、サイリョウ」と何度も踊り、数度繰り返したのち、合図とともに一斉に飛び降りて、駆けていきます。そして、御棚を神前に献じ、神職によって厳かに神事が御斎行されます。神前では、神楽舞が奉じられ、御旅所の中を大きな神楽松明を抱えた青年たちが練り歩きます。その他、玉串奉奠などの諸儀をもって、神幸祭は滞りなく御斎行され、翌日の還幸祭をもって、御神輿は本社へとお戻りになられて、この祭儀を静かに終えました。

 今年は大雨に見舞われ、「時代祭」でも大きく影響が出たようですが、鞍馬の火祭でも観光客は今年は比較的少なく、大きな問題もなく、静かに無事御斎行されました。
関連記事